夏の暑い季節になるとハエや蚊などの害虫が活動し始めますが、蚊などは吸血することからデング熱やその他の感染症などが気になります。
また、ハエも衛生上の問題もある事から、食事中に1匹のハエが飛んでいた場合は気になりますよね。
しかし、ハエは蚊などのように吸血する事はないですが、ハエの仲間であるウマバエなどは哺乳動物に寄生して肉を食べると言われています。
今回は、そんなウマバエは日本に生息している?寄生後の症状や予防法について解説したいと思います。
目次
ウマバエの生息地
ウマバエとは、動物に寄生した幼虫が体内の肉を食べる寄生バエの総称であり、
生物学的には双翅目、ヒツジバエ科に属する昆虫で、世界中に28属151種存在しています。こんなに種類がいるとは思いませんでした。
中には動物の体に直接卵を産み付け、孵化した幼虫が体内に寄生するウマバエや蚊などの吸血昆虫の体に卵を産み付けるような中間宿生を介して寄生するヒトヒフバエなどが存在します。
これらを一括りにしてウマバエと呼ばれているようです。
そんなウマバエは、主に熱帯地方に多くみられ、生息地は中央アメリカや南アメリカであり、種によってはアフリカや東南アジアにも生息しています。
中でも人に寄生すると言われるヒトヒフバエは、日本には生息していませんが中南米のメキシコ、ブラジル、ペルー、チリ、アルゼンチンなどに生息が確認されています。
旅行者が集中しやすい中南米にこのような恐ろしい寄生バエが生息している事には驚いてしまいましたね。
蚊やダニなどには十分な注意が必要だと改めて感じました。
ウマバエは日本にいる?
生ごみや不衛生な物に集まるハエは、様々な病原菌を運ぶ事からとても不愉快な昆虫ですが、動物に寄生すると言う認識はなく、もしそんなことがあったとしても、それは海外だけでの事と思ってしまいますよね。
しかし、日本にも寄生バエは生息しており、ウマバエ、アカウマバエ、ムネアカウマバエ、アトアカウマバエの4種が確認されています。
幸い日本には、人に害を及ぼすと言われるヒトヒフバエは存在していませんが、馬などに産み付けられたウマバエの卵が手の傷口に触れる事で傷口から体内に入り込むと言う事は十分考えられます。
手の傷口から入る・・・考えただけでもゾッとしますね。
また、その他には牛に寄生するウシバエとキスウシバエが確認されており、更に北海道には輸入羊に寄生していたヒツジバエも生息が確認されています。
その為、北海道のヒツジバエは、要注意外来種に指定され、農業団体では注意を呼び掛けているようです。名前は可愛いのですが、、厄介な存在ですね。
ウマバエは犬や馬にも寄生する?
ウマバエは、全ての種類が幼虫を哺乳類に寄生させて増やしていく寄生バエであり、名前の通り馬に寄生する昆虫です。
その為、馬などに寄生する場合は、馬の前肢前面の毛に直接産み付け、馬が毛づくろいをする際に舐めた唾液によって孵化することになり、馬の口から幼虫が体内に侵入します。
侵入した幼虫は、歯茎に寄生して成長と共に胃や直腸へと移動し最終的には肛門から外に排出され土中で蛹となり、再び羽化して成虫となり、また寄生すると言うことを繰り返します。
寄生された馬は、胃や腸に炎症ができて潰瘍になる事もあり、酷い場合は胃が破裂して死んでしまう事もあります。
また、人間に寄生すると言われるヒトヒフバエは、犬や猫などにも寄生しますが、直接卵を産み付けることをせずに人を刺すような蚊やサシバエ、又はダニなどのお腹に卵を産み付けます。
卵を産み付けられた蚊やダニなどが人に付着したとき、人の体温によって孵化し、蚊やダニに吸血された際の吸い口の穴が侵入ルートになり、人間や犬などの皮下組織に侵入して肉組織を食べて成長します。
何とも、恐ろしいやら気持ち悪いやらで嫌な昆虫ですが、見た目がアブやハナアブに似ており見分ける事は難しいですが、よく見ると口器が無く、触角も短いので良く観察すると判るようです。
ウマバエの寄生時の症状
体内に侵入した幼虫はその部位の臓器や肉組織を食べて成長しますが、だいたいは大きく成長してから気づくことが多く、寄生された哺乳類動物は食欲不振、血便、下痢などのハエ幼虫症が引き起こされるため、このようなサインを見逃さない事が大切です。
また、幼虫が体内に侵入した場合は、寄生部位に炎症がおき、痛みや痒み、皮膚の腫れ、或いは発熱、倦怠感なども引き起こされます。
しかし、寄生に気づいて慌てて幼虫を引き抜いても幼虫の体表には棘がある為、途中で千切れて感染症を起こす危険もあります。
そして皮膚内で潰れた場合はアナフィラキシー症状も引き起こす事もあるので自分で引き抜くことは止めて早めに皮膚科又は外科を受診するようにしましょう。
因みに、幼虫は開いた穴から呼吸をしている為、穴に軟膏のような物をタップリ塗る事で呼吸ができなくなり皮膚の外へ這い出して来ると言われています。
引き抜くよりもこちらの方が簡単かもしれませんね。
旅行時の予防法
幸い人に直接害を及ぼすヒトヒフバエは日本に存在しませんが、海外旅行者がウマバエに寄生され帰国してから気が付いたと言う事例はあります。
特に中南米を訪れた場合は寄生バエに寄生されると言う意識を持つことが必要ですね。
近年では日本人旅行者の増加傾向と共に寄生される人も年々増えており、様々な予防法も考えられていますが一番は蚊やダニなどに刺されない事であり、長袖や長ズボン、靴下をはくなどして出来るだけ皮膚の露出を避ける事が大切です。
また、虫よけスプレーなどは必ず持ち歩くようにしましょう。
まとめ
かつてハエなどは不衛生な昆虫と言う認識でしかなかったのですが、近年では人や動物に寄生して肉を食べて成長すると言う事実を知り驚いてしまいます。
世の中にはまだまだ未知の昆虫が存在すると思うと恐怖さえ感じますが、人に寄生するウマバエ(ヒトヒフバエ)は、まだ日本では見られなく、中南米の地域に存在すると言う事なので、ブラジルやペルーなどに行く場合は、寄生されないように十分な注意が必要です。
暑い国ですが、軽装では危険であり防虫スプレーを持つようにすることも大切なことです。
もし、寄生された場合は早めに病院を訪れるようにしましょう。
以上、ウマバエは日本に生息している?寄生後の症状や予防法についての解説でした。
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