ジャコウアゲハという蝶の名前、聞いたことはありますか?
ジャコウアゲハは、真っ黒なアゲハチョウです。
東アジアを中心に生息しており、日本でも秋田県から南、八重山諸島まで生息しています。
黒いアゲハ?なんてみたことあるかなぁという方もいらっしゃるかもしれません。
えさに応じて生息範囲がかわるため、急にあらわれたり、急にいなくなったりします。
兵庫県姫路市ではジャコウアゲハは市の蝶に認定されています。私たちとのかかわりは、古くからあるジャコウアゲハです。
そんなジャコウアゲハですが、幼虫は決して可愛いものではありません。
黒い体に赤褐色の凹凸があります。動いていたら近寄りたくなくなるくらい、ちょっと怖い配色の幼虫です。
目次
幼虫のえさは?
そんなジャコウアゲハは、えさが決まっています。その餌以外を食べないため、卵を産むのもその食草に産み付けられます。
えさは、ウマノスズクサという食草です。ツル性の多年生の植物で種類違いで日本全国に生息している食草です。このウマノスズクサをえさにしています。
このウマノスズクサが少ないと、共食いを起こしてしまうくらい、このウマノスズクサは重要なのです。
さらにウマノスズクサは、毒を持っており、ほかの昆虫などはえさにして食べません。
次になぜ毒なのにえさにしているか、紹介します。
ジャコウアゲハの幼虫には毒がある?
先にお話しましたが、ウマノスズクサには毒があります。
しかし、ジャコウアゲハはこの毒を持った食草を食べても体内で毒を蓄積できる特徴があり、えさで命を落とすことはありません。さらに、他の昆虫にえさを取られることもなく、
生存競争に巻き込まれる可能性が低いのです。
ウマノスズクサには、アリストロキア酸という摂食刺激物質が含まれているのです。これが毒性のあるものなのです。
では、ジャコウアゲハの幼虫は毒を持っているのでしょうか?
ジャコウアゲハの幼虫は、敵に襲われたとき、身を守るために頭にある角のようなものから臭い液体を噴射します。
これを臭角といいますが、この噴射だけでは、毒を持っていません。ただ100パーセント持っていないとは言い切れないのですが、噴射だけでは毒とは確定できないのです。
しかし、例えば敵がジャコウアゲハの幼虫を食べた場合、体の中に蓄積された毒で命を落とす可能性はあります。
体を張って餌を食べて、敵から身を守るのがジャコウアゲハなのです。
幼虫・蛹の期間は?
では、ジャコウアゲハの幼虫、蛹の期間はどのくらいなんでしょう?
成虫への道はどのくらいかかるのでしょう?
ジャコウアゲハは4月から10月ごろまで成虫を見ることができます。
その間に、繁殖します。もちろん、ウマノスズクサに卵を産みますが、卵は幼虫になり、5回の脱皮を終えると蛹になります。
しかもたくさん食草を食べて蛹になったらそのまま冬を越すのです。
暖かい時期がきたら1週間から2週間で成虫となります。
その期間は、夏から秋にかけてです。
早いと1ヶ月から2ヶ月で蛹になります。
貴重!!幼虫から蛹になる瞬間
蛹の色は?
では、ジャコウアゲハの蛹の色は何色でしょう?
黒い成虫、黒い幼虫で、黒のイメージがありますね。
しかし、蛹は黒ではありません。
どちらかというと、白のような、薄茶色のようなきれいな色の蛹です。
体長は3センチ前後、幅は、1.5センチ前後あります。
この蛹で越冬するのです。寒い間は、何も食べないで成虫になる時期を待つ・・すごい生命力ですね。
越冬はいつ行う?
では越冬はどのくらいの時期からあるのでしょう?
やはり涼しくなる10月くらいから始まります。
はっきりとした期間は、個別体や地域によっても異なり、変わってきます。
さらに越冬しても、羽化しないこともあります。
飼育する場合羽化時に注意点
羽化はジャコウアゲハに限らず、タイミングといえます。
しかも食草場所で蛹になるかというと、そうではありません。
ウマノスズクサの近くの草や木に蛹を作ったりします。おうちで飼われる際の注意点は?
飼育ケースの乾燥を防ぐことです。さらに夏を過ごすジャコウアゲハには、夏の温度管理と湿度管理が重要です。
複数飼う際は、1匹ずつ飼育ケースを分けて共食いを防ぎましょう。
さらに部屋で飼う際は、室温が温かくて越冬期間が短いまま、羽化することがあります。
越冬させる際は、しっかり冬の気温にあわせてください。暖かい場所を避けて冬は飼って下さい。
まとめ
ジャコウアゲハ、すごいですね。
生存競争に巻き込まれないために、毒のある食草を食べてさらには、自ら毒を体内に蓄積することで敵から身を守る・・・体を張った自然界の生命力です。
ジャコウアゲハは、黒く優美な蝶ですが、こんな仕組みが体にあるとは?
自然界で生き残る難しさを感じますね。
夏になると、飛んでいるのを見る機会が増えます。
幼虫も黒くてびっくりしますが、優しく見守ってあげましょう。飼う際は、必ず、大量のウマノスズクサを与えて、飼って下さい。
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